ZR-Vの特徴

ホンダ「ZR-V」はシビックのプラットフォームを使用したホンダクロスオーバーSUVで、2023年4月に発売となったばかりの最新モデルです。全長4,570 ㎜×全幅1,840㎜×全高1,620 ㎜という大きすぎず小さすぎないちょうどいいサイズで、SUVらしいボリューム感のあるスタイリングと、シビックとプラットフォームを共用しているからこそのスポーツセダンのような軽快な走りが魅力的な一台となっています。

搭載するパワーユニットは1.5L直噴VTEC TURBOエンジンと2.0L 直噴エンジンと2モーターを組み合わせたホンダ独自のe:HEVハイブリッドで、上級グレードには、BOSEプレミアムサウンドシステムや本革シート、パワーテールゲートにETC2.0車載器など標準で装着されています。ミドルクラスのSUVとしては非常に豪華な装備も大きな特徴となっています。

価格は3,049,200円（Xグレード・ガソリン2WD）から4,347,200円（Zグレード・ハイブリッド4WD）までと、このクラスとしては少し高めですが、ライバルがオプション設定している装備を標準装備にしていることを考えると、妥当な設定といえるでしょう。

ZR-Vのグレード構成は非常にシンプルです。標準グレードの「X」と上級グレードの「Z」があり、さらにそれぞれにガソリンエンジンモデルとe:HEV（ハイブリッドモデル）が用意されています。また駆動方式も2WDと4WDが設定されています。

• 1.5Lガソリン X　 2WD
• 1.5Lガソリン X　 4WD
• e:HEV X（ハイブリッド）　 2WD
• e:HEV X（ハイブリッド）　 4WD
• 1.5Lガソリン Z　 2WD
• 1.5Lガソリン Z　 4WD
• e:HEV Z（ハイブリッド）　 2WD
• e:HEV Z（ハイブリッド）　 4WD

このほかに特別仕様車として以下があります。

• 1.5Lガソリン X　 2WD
• 1.5Lガソリン X　 4WD
• e:HEV X（ハイブリッド）　 2WD
• e:HEV X（ハイブリッド）　 4WD
• 1.5Lガソリン Z　 2WD
• 1.5Lガソリン Z　 4WD
• e:HEV Z（ハイブリッド）　 2WD
• e:HEV Z（ハイブリッド）　 4WD

上級グレードの「Z」は、ガソリンエンジン、ハイブリッドとも標準グレードの「X」には装備されていない、Honda CONNECTディスプレー+ETC2.0車載器〈ナビゲーション連動〉と12スピーカーのBOSEプレミアムサウンドシステムが標準で追加されています。

さらに、運転席8ウェイ+助手席4ウェイパワーシート、ステアリングヒーター、LEDテールゲートランプ、ステンレス製スポーツペダル、ビルトインエキパイフィニッシャーなども標準装備として追加されており、非常に豪華な装備内容となっています。

ZR-Vは幅こそ1,840㎜と3ナンバーサイズですが全長は4,570㎜と大きすぎることもなく、最小回転半径は5.5ｍほどで取り回し性に優れています。まるでセダンのような乗車姿勢となっており、上半身をゆったりと背もたれに預けても、各ペダルに足は届きやすくスムーズな操作ができ、運転はしやすいといえます。

また、車高が高いため視界も広く、運転席からボンネットの先端までもよく見え障害物ギリギリまで近づくことも可能です。また、障害物に接近しても広い水平画角のフロントワイドビューカメラと前後8つのソナーセンサー、レーダーで衝突を防いでくれるので初心者でも安心して運転ができるでしょう。

後方視界も良好です。ウインドー面積が大きく、ルームミラーで後続車なども確認しやすいのでバックするときでも操作はしやすいはずです。ただし、Cピラーが少し太目でウインドーの下端部の位置も高いので、背の低いものは死角になりやすくセンサーがあるとはいえしっかり目視を行うなど注意も必要です。

運転席と助手席のシートにはボディスタビライジングシートが採用されています。シート内部に骨盤を支えるフレームが内蔵されており、骨盤から腰椎を面でしっかり支えてくれ、また、座面は肉厚のクッションとサスペンションマットによって骨盤が安定するので、長時間運転でも疲れにくく優れた快適性を実現しています。

ZR-Vのボディサイズは全長4,570㎜×全幅1,840㎜×全高1,620㎜で、決して大きくはありませんがコンパクトというほどではありません。ミドルクラスSUVとして標準的なサイズといえます。上方が絞り込まれたキャビンはワイドトレッドを強調しておりボリューミーに感じます。しかしホイールベースが2655mmと長くとられているので伸びやかさもあり、最低地上高が190mm確保されていることもあって存在感も満点です。

滑らかな面で構成されたフォルムは張りがあり実際のサイズ以上の迫力がありますが。また、フロントフェイスは比較的シンプルで横長のヘッドランプと、バーチカル（垂直）フロントグリルと呼ばれる縦桟（たてざん）デザインのグリルが非常に個性的で目を引きます。

インテリアは非常に機能的で、かつ上質で高級感のあるデザインを採用しています。左右に広がる水平基調のインパネや、横一文字のパンチングメタルエアコンアウトレットもワイド感を強調しており、ハイデッキデザインのセンタコンソールの位置が高く、まるで高級セダンのような雰囲気があります。

アームレストなど身体が触れる部分にはソフトパッド表面にガラスパールをちりばめたパール調表皮を採用。つややかなだけでなく光の当たり具合で繊細な陰影ができ、高級感を演出してくれます。ルームランプもなかなか凝っていてランプ周辺に触れるだけで簡単に点灯が可能です。

シートの素材は、Xグレードがプライムスムースとファブリックを組み合わせたコンビシートで、Zグレードは本革シート仕様です。コンビシートも高級感がありますが、本革シートはさらに上質で高級感のあるラグジュアリーなイメージです。Zグレードは運転席8ウェイパワーシート（スライド/リクライニング/ハイト前・後）、助手席は4ウェイパワーシート（スライド/リクライニング）標準搭載です。

ZR-Vのラゲッジスペースの容量はガソリン車が408Lで、ハイブリッドのe：HEVは少しだけ狭く395Lです。ライバルと比べると少し狭い（RAV4は580L、エクストレイルは575L）ですが9.5インチゴルフバッグであれば3個、一般的なスーツケースでも3個まで積むことができるので十分な容量といえるでしょう。荷室の開口部の高さは床とフラットにつながっているので重い荷物でも引き出しやすくなっています。

6：4分割可倒式のリアシートは簡単に折りたたむことができ、背もたれ倒すとの座面が沈み込むダイブダウン機能で荷室長1,590㎜×荷室最大幅1,420㎜×荷室高750㎜というフラットで広々とした荷室にすることができます。車中泊には少し物足りませんが、大きな荷物でもたっぷり積載することが可能です。

パワーテールゲートは全グレードに標準となっていますがＺグレードではハンズフリーアクセス機能も標準となっています。これはリヤバンパー中央下部に足先を入れるとセンサーが反応して、ハンズフリーでテールゲートが開閉できるというものです。ベビーカーなどを積み込む際には重宝するでしょう。

その他にも車内の収納スペースは充実しており、ドリンクホルダー（ハイデッキセンターコンソール）やセンターコンソールアンダートレー、リアセンターアームレスト（ドリンクホルダー付き）、ボトルホルダー、シートバックポケットなどが用意されています。

安全装備ではHonda SENSINGが全グレードに標準装備です。約100°の広い有効水平画角を持つフロントワイドビューカメラと高速画像処理チップ、そして前後8つのセンサーにリヤバンパー内蔵のレーダーを使うことで、従来よりも高い精度で危険回避をサポートしてくれます。

搭載される具体的な先進安全技術をまとめると以下のようになっています。

• ・衝突軽減ブレーキ
• ・歩行者事故低減ステアリング
• ・路外逸脱抑制機能
• ・車線維持支援システム
• ・渋滞追従機能付きアダプティブクルーズコントロール
• ・トラフィックジャムアシスト（渋滞運転支援機能）
• ・誤発進抑制機能（前方・後方）
• ・近距離衝突軽減ブレーキ
• ・パーキングセンサーシステム
• ・オートハイビーム/アダプティブドライビングビーム
• ・ブラインドスポットインフォメーション

その他Ｚグレードには標準で、Ｘグレードにはメーカーオプションとなっている「後退出庫サポート」などもあります。こちらは、駐車場などから後退で出庫するときに、リヤバンパー左右にあるレーダーで車両後方の左右から接近する他の車両を検知、運転者に知らせるというもの。駐車スペースの関係でバックでの出庫が必須という方にはうれしい装備ですね。

ZR-Vのパワーユニットの設定は2種類です。1.5Ｌガソリンターボエンジと、ハイブリッドの「e:HEV」で、それぞれのWLTCモード燃費は以下です。ハイブリッドはさすがに燃費性能に優れていますが、ガソリンエンジンでも1.5tという車重を考えれば決して悪くはありません。

• e:HEV　2ＷＤ 22.1~22.0㎞/L
• e:HEV　4ＷＤ　 21.7~21.5㎞L
• 1.5Ｌガソリン　2ＷＤ　 14.6~14.5㎞/L
• 1.5Ｌガソリン　4ＷＤ　 13.9㎞/L

ZR-Vは、標準グレードの「X」でも充実した内容になっています。左右独立温度コントロール式フルオート・エアコンにフルLEDヘッドライト、後席用のリアベンチレーションに、パワーテールゲート、シートヒーター（運転席/助手席）にホイールも18インチのアルミホイールが標準。Xグレードでも装備に不満を感じることは少ないでしょう。

またUSB充電ポートもType-AとType-Cが装備されており、後席用USBチャージャー(Type-C/急速充電対応タイプ)も2個付いています。さらにワイヤレス充電器をオプションで追加することもできます。

「Z」以上になるとさらに豪華な内容となり、XではオプションのHonda CONNECTディスプレー＋ETC2.0車載器やマルチビューカメラシステムに加え12スピーカーの「BOSEプレミアムサウンドシステム」や、8ウェイパワー機能とシートヒーター機能付きの本革シートに本革ステアリングなども標準装備となります。

また、パワーテールゲートもハンズフリーアクセスパワーテールゲート（予約クローズ機能付）となります。Zグレードとなると、ガソリンエンジンの2WDモデルでも3,648,700円と安くはないですが、ライバル車がオプションで設定しているようなアイテムが標準でついてくるということを考えると、決して高額過ぎるということはないでしょう。

ZR-Vは、ミドルクラスながらボリュームがありSUVらしい存在感があります。しかし、そのエクステリアデザインは都会的で泥臭さがなくとても洗練されています。また、インテリアも派手さはありませんが、上質かつ高級感満点で落ち着いた雰囲気を持っています。そのため上級のセダンやLクラスミニバンからSUVへの乗りかえを検討している方におすすめできます。

さらに、走りもプラットフォームがシビックベースということもあって、ハンドリングが洗練されており、ガソリンターボ、ハイブリッドともに爽快なパワーフィールも感じられるので、SUVでも走りを楽しみたいという方にもマッチするのではないでしょうか。