CX-60の特徴

CX-60は従来のCXと大きな違いとして、駆動方式がFF前輪駆動ではなくFR（後輪駆動）がベースとなっています。FRは、ハンドリングや静粛性に優れ、スポーツカーや高級車に多くもちいられていますが、欠点として同じボディサイズであればFF車よりも車内が狭くなってしまうというものがあります。

CX-60の場合はどうなのか。室内寸法をCX-5と比べてみるとCX-5は室内長1,890mm×室内幅1,540mm×室内高1,265mmなのに対しては、CX-60は室内長:1910mm×室内幅:1550mm×室内高:1230mm。このようにほぼ変わりません。

ただ、車載サイズはCX-5が全長4,545mm×全幅1,840mm×全高1,690mmなのに対して、CX-60は全長4740mm×全幅1890mm×全高1685mmなので、CX-60のほうがかなり大きい。室内スペースとしては十分広いですが、スペース効率の高さではFFベースであるCX-5のほうが優れているといえるかもしれません。

とはいえ前席も後席も4名の長時間乗車に関しては十分に快適ですしシートはサイズも大きく、作りもしっかりしていて高級感もあります。また、座面高さなども適切で長時間ドライブでの快適性はCX-5を上回るかもしれません。ただし試乗記などを確認すると、乗り心地が固いという評価もあるようです。

CX-60は全長が4740mm、全幅1890mmもあるのでかなり大型です。そのため狭い道などでは取り回しに苦労するかもしれません。しかしFRベースのため前輪が大きく切れるのでFF車よりも小回りがきき最小回転半径は5.4mです。FFベースのCX-5はボディがCX-60よりも小さいのに最小回転半径5.5mなのでボディサイズは大きいですが小回りはCX-5以上にきくということになります。

また、まっすぐな姿勢でシートに座り、足を自然に伸ばすと、その位置にアクセルペダル、ブレーキペダルが配されているという理想的なレイアウトとなっており、自然な運転姿勢でリラックスしながらドライブが可能です。

視界も悪くありません。CX-60のボンネットは運転席から先端近くまで視界に収まりまるのでフロントの見切りの良さは比較的良好です。万が一障害物に接近し過ぎた場合もフロントパーキングセンサーが音と表示で障害物の接近を知らせてくれるので安心。

ただし、車幅が1.89mもあるので、狭い駐車スペースなどでは窮屈さがありますし、幅寄せもそれなりに気を使うかもしれません。

CX-60のラゲッジスペース容量は570Lです。車体が大きい分容量は余裕があります。約120cmのゴルフバッグ（45.5inのドライバーを入れた状態）なら、真横にして4個。また、スーツケース(67型、67Ｌ相当）だったら4個の積載が可能です。これだけあれば家族分の荷物は余裕で積み込むことができるでしょう。

リアシートバッグはラゲッジスペース側からリモコンレバーを引くだけで、簡単に倒すことができます。シートを倒せば段差のないフラットで広々としたスペースが作れるのでかなりの荷物を積み込むことが可能です。荷室フロアと開口部にも段差がないので重い荷物の積み降ろしも簡単です。

CX-60はCXシリーズの中でもプレミアムSUVという位置づけのため、安全装備も非常に充実しています。歩行者や自転車も検知する衝突被害軽減ブレーキや、前後方向に対応する誤発進抑制機構。さらに全車速追従機能付きマツダレーダークルーズコントロール（アダプティブクルーズコントロール）や車線の中央を走る車線維持機能、後側方を走る車両を検知して知らせるブラインドスポットモニターも搭載されています。

他にも、対向車や先行車の位置によりハイビームの照射範囲を変えるアダプティブハイビーム（L Package以上のグレード）に、交通標識を認識するロードサインアシストなども標準装備しています。

また、運転者の異常を検知すると車両を減速・停止させるドライバー異常時対応システムやドライバーモニタリング機能も搭載されています。

CX-60のエクステリアは、やはりそのロングノーズショートデッキスタイルのスポーツカールックが大きな特徴となっています。これはFRという駆動方式からくるもので、フロントオーバーハングも短く、スポーツカーや高級セダン的な雰囲気を漂わせています。

堂々としたフロントグリルは、存在感満点ですが決して下品ではなく、周囲を囲むクロームメッキも相まって高級感はありながらシャープでスポーティな印象も見せてくれます。マツダはCX-60を従来のCXシリーズとは違ったプレミアムSUVという位置づけに設定していますが、その狙い通り高級感満点です。

インテリアも非常に上質です。ダッシュボード中央にメインモニターを配置するオーソドックスなレイアウトですが、シルバー加飾や合成皮革、ナッパレザーシートなどの内装材が用いられなど、質感も非常に高いものとなっています。

中央のマツダコネクトと連携するメインモニターは、10.25インチワイドと12.3インチワイドの2つのモニターサイズが用意されています。どちらも多彩なグラフィック処理で車両情報が直感的に把握可能です。

シート地はレザー（上級モデルはナッパレザー）が標準で、クロス地のシートはベーシックグレードのXDもしくはS Pacageグレードのみとなっています。こういった仕様もさすがプレミアムSUVですね。

CX-60のWLTCモード燃費は以下の通りです。

・2.5Lガソリンエンジン（FR）／14.2㎞/L
・3.3Lディーゼルターボ（FR）／19.8㎞/L
・3.3Lディーゼルターボマイルドハイブリッド（FR）／21.0㎞/L
・PHEV2.5Lガソリンエンジン＋モーター／14.6㎞/L　交流電力消費率／247Wh/㎞　EV走行距離74km

車両重量はもっとも軽いガソリンエンジン車が1680kgで、最も重いPHEVが2090kgと重量級であることを考えると悪くありません。PHEVが意外に燃費に優れているわけではないのが気になりますが、ディーゼルハイブリッドは、マイルドハイブリッドながら21.0㎞/Lとこのクラスとしては非常に優秀な値です。

ホイールは全車アルミホイールが標準で、ベーシックグレードは18インチですが、最上級グレードは20インチの大径サイズ。235/50R20とタイヤもワイドで、見た目にも大迫力です。

運転席は10Wayパワーシートとシートヒーターが標準（L Pakage以上）で、USB端子はタイプAとタイプCが前後席に搭載されています。また、上級グレードのExclusive ModeとPremiumSports、Premium Modernにはパノラマサンルーフも標準装備となっています。

リアゲートは、アドバンストキーのスイッチやハンドル右下のクラスタースイッチの操作で開閉できるうえ、リアバンパー中央下部にセンターがあり足の動きを感知してリアゲートを自動で開閉できるハンズフリー機能も搭載するなど非常に充実しています。

価格はガソリンエンジン車の25S S Package の2,992,000円～PHEVのPremium Modernの6,264,500円と幅がありますが、これだけ高級感満点のプレミアムSUVがベーシックグレードとはいえ2,992,000円～で購入できるというのはとても魅力的ではないでしょうか。