2023年新型アルファードの特徴

4代目の新型アルファードですが、基本的なイメージは先代を踏襲しています。その上で快適な移動の幸せを追求するために、プラットフォームから刷新されています。装備や機能性だけでなく燃費や走りの性能なども進化させ、さらにエクステリアやインテリアのデザインもグレードアップ。室内の快適性や使い勝手なども着実な改良が施されています。

サイズ感的には先代とほぼ変わっていませんが、室内スペースも十分な広さを確保し、パワーユニットも2.5Lガソリンエンジンとハイブリッドモデルを設定。その他具体的にどのように進化しているのかを詳しく見ていきましょう。

まずはグレード構成です。新型アルファードのグレード構成は先代に比べると非常にシンプルです。グレードとしてはZグレードとExecutive Loungeのみとなっています。そして、Zグレードにはガソリンエンジンとハイブリッドが設定されており、Executive Loungeはハイブリッドのみ。それぞれに2WDと4WD（ハイブリッドはE-Four）が用意されているので、全部で6タイプが用意されているということになります。

乗車定員は7人のみで先代にあった8人乗りは設定されていません。現状は上級グレードのZグレードと最上級グレードのExecutive Loungeのみといった展開なっていますが、おそらくいずれ中間グレードのGグレードやエントリーグレードのXグレードなども設定されると予想されます。また8人乗りも設定される可能性が高いでしょう。

グレードごとの車両価格は以下です。

• Zグレード（ガソリンエンジン）2WD
  5,400,000円
• Zグレード（ガソリンエンジン）4WD
  5,598,000円
• Zグレード（ハイブリッド）2WD
  6,200,000円
• Zグレード（ハイブリッド）4WD
  6,420,000円
• Executive Lounge（ハイブリッド）2WD
  8,500,000円
• Executive Lounge（ハイブリッド）4WD
  8,720,000円

もっとも安いグレードでも540万円と先代アルファードと比べると価格は大幅にアップしています。ただ、いずれミドルグレードやエントリーグレードが発売されれば、もう少しお買い得なグレードが設定されるのではないでしょうか。

アルファードといえばやはり豪華な装備が大きな魅力ですが、新型は先代以上に装備はゴージャスな内容となっています。まず運転席、助手席に加えて後席でも左右独立した温度設定が行えるフルオートエアコンを設定。エアコンは後席の空調を抑制するS-FLOW制御により、快適性と省燃費を両立しています。

さらにフロントシートは全グレードパワーシートを採用。シート地はプレミアムナッパ本革もしくは合成皮革でサイズもたっぷりとしていて座り心地も満点。また、快適温熱シート＋ベンチレーションシート（運転席・助手席）助手席肩口パワーシートスイッチ（シートスライド＆リクライニング）なども搭載しており最上級の快適さを味わうことができます。

セカンドシートはフロントシート以上に豪華な仕様となっており、ベンチシート仕様はなくキャプテンタイプのエグゼクティブラウンジシートもしくはエグゼクティブパワーシートとなっています。そして、ロングスライドやパワーリクライニング、パワーオットマン、大型アームレスト（カップホルダー各席 1 個＋ポケット付）、快適温熱シート＋ベンチレーションシート、折りたたみ式サイドテーブルまでもが全グレードに標準装備となっておりゴージャスの一言。

さらにExecutive Loungeになると、パワーロングスライドやリフレッシュシート、メモリー機能（パワーリクライニング・パワーオットマン・チルトアジャスター）、マニュアルウォークインレバー、快適温熱シート（オットマン＆アームレストヒーター付）＋ベンチレーションシート、回転格納式テーブル（防汚処理付バニティミラー付 / 各席 1 個）、リヤマルチオペレーションパネル（脱着式）、ファイルホルダー（物落ち防止スペーサー付）などまでが標準装備となります。まさにエグゼクティブ気分が味わえる超高級仕様です。高級リムジン並みの心地よさを実現しています。

さらに圧巻なのがルーフに装備されたスーパーロングオーバーヘッドコンソールです。こちらには照明や各種スイッチ類、エアコン吹き出し口などを天井中央に集約しており、セカンドシートに座りながら反対側の窓を開閉したり照明を調節したりすることが可能です。さらにこのスーパーロングオーバーヘッドコンソールの左右には独立ムーンルーフが装備（Executive Loungeに標準、Zグレードにメーカーオプション）されており解放感を味わえるほか、間接照明も内蔵しておりまるでシャンデリアのようなゴージャスな明かりも楽しめます。

最上級ミニバンらしく後席への乗降性も進化しています。スライドドアにトヨタ車として初となる右側ユニバーサルステップを採用されセンターピラーや左右の天井にはロングアシストグリップが設置されているのでフロアの高いミニバンながら高齢の方でも小さなお子さんでもスムーズな乗り降りが可能となっています。

安全装備は最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」が標準装備となっています。ドライバーの操作を先読みし、ステアリング操作や減速を支援するプロアクティブドライビングアシスト（車線内走行時常時操舵支援、信号交差点に対する右左折時減速支援）も全グレード標準装備となっている上、Executive Loungeでは、高度運転支援技術「トヨタ チームメイト」も標準搭載（その他グレードはオプション設定）。駐車時、渋滞時の運転をサポートしてくれます。

新型アルファードはデザインが一新され、見た目にも大型化されたかのように見えます。しかし、実際のサイズは先代アルフォードとほとんど変わっていません。実際のサイズを新型アルファード（Executive Lounge）と先代アルファード（3.5 Executive Lounge）で比べてみると以下になります。

• 新型アルファード／
  全長4,995㎜×全幅1,850㎜×全高1,935㎜
• 先代アルファード／
  全長4,944㎜×全幅1,850㎜×全高1,935㎜

新型は全長が50㎜ほど大きくなっていますが、ホイールベースは変わらず3,000㎜。ほぼ一緒といっていいでしょう。大型化されなかったのは、おそらく先代ですでに十分なサイズであったことに加え、一般的な機械式駐車場のサイズ制限である「全長5,000mm未満、全幅1,850mm以下」が利用できるようにしているためです。国内での使い勝手を考えるとこれ以上大きくする必要はないとの判断なのでしょう。

新型アルファードは先代のような標準系とエアロ系といった2つのスタイルは用意されていません。アルファードは標準系だけとなっています。そして、兄弟車であるヴェルファイアがエアロ系のみとなっています。

アルファードの特徴といえば、巨大なフロントグリルですが新型でももちろん採用されています。ただしクロームメッキのギラギラ感は以前よりも抑えられておりより上品なデザインとなっています。カラーはラメ入りのガンメタで40個ものメッキ加飾パネルを組み合わせています。グリルの先端部分は先方に突出した逆スラントデザインで、この部分が全長の＋50㎜分となっています。

エンブレムも変わっています。先代はアルファード専用エンブレムでしたが新型ではこれがトヨタのエンブレムに変わりました。そして、ヘッドライトは薄型の3眼LEDヘッドランプ（ハイ・ロービーム）となり、LEDクリアランスランプ（デイタイムランニング機能付き）やLEDコーナリングランプ＋LEDシーケンシャルターンランプなども装備されています。このシャープな目元が非常にクールです。

フロントバンパーはボリューム満点で複雑な曲面を描く有機的な造形がとても個性的です。フェンダーやボディサイドにつながるプレスラインも大胆で、アスリートの筋肉質な体を思わせます。

ウインドウグラフィックもとても凝っています。フロントドアウインドウ下部からAピラー付け根、そしてウインドウ上部を経由してテールゲートスポイラーまで連続する一筆書きのメッキモールを採用しており、後席ウインドウの面積が少し小さめですが、新しさを感じさせるデザインとなっています。

全体的に先代に比べると洗練されており、上品な高級感が醸し出しています。オラオラ感、ギラギラ感が薄れたように見えますが、高級ミニバンとしてはかなりクオリティがアップしたといえるのではないでしょうか。

インテリアはやはりゴージャスです。インパネまわりのデザインはドアトリムからインパネまで連続したラウンド形状となり、先代の直線基調のデザインから大きく変更されています。センターコンソールも非常に重厚でまるで豪華クルーザーのよう。またスポーツカー的な包容感もあります。そしてインパネ中央に14インチという巨大なディスプレイがそそり立っておりその視認性は後席からでも抜群です。

さらにセンターコンソールは合成皮革巻き＋スパッタリング仕様で高級感があり、スイッチ類も整理されているのでごちゃごちゃした感じがなくとても落ち着いた空間になっています。そして後席には下降タイプのサイドサンシェードを設定。パワータイプがExecutive Loungeに標準装備でZにメーカーオプションとなっています。

このパワータイプのサンシェードは作動音の静粛化に加え、閉じきる直前はゆっくりと動かすという障子を閉じる時のマナーを参考にした日本ならではの所作を表現するなど、動作でも高級感を演出。もちろんしっかり遮光できるほか好みの位置に止めることも可能です。さらに、後席からだけでなく、音声認識操作や前席からの一括操作も可能とリムジンなみの機能も持っています。

走行性能も進化しています。まず、シャシーの基本骨格を見直してTNGAプラットフォーム（GA-K）をミニバン用に最適化したものを採用。そして、車体底部の後方にブレースをV字型に設け車両剛性を従来型比で約50％もアップ。ボディの変形を効果的に抑制して、優れた操縦安定性と乗り心地を実現しています。

パワーユニット2.5Lガソリンエンジンと、2.5Lガソリンエンジン＋モーターのハイブリッドの2つが設定されています。2.5Lガソリンエンジンは最高出力134 kW (182 PS)／最大トルクが235 N・m (24.0 kgf・m)。特別パワフルではありませんが、重量級のボディでも不満のない走りが味わえるでしょう。

2.5Lガソリンエンジン＋モーターのハイブリッドはエンジンが最高出力140 kW (190 PS)／最大トルクが236 N・m (24.1 kgf・m)。そして最高出力134 kW（182 PS）、 最大トルク 270N・m（27.5kgf・m）のフロントモーターと4WDは最高出力40 kW（54 PS）、 最大トルク 121N・m（12.3kgf・m）のリアモーターを組み合わせています。システム最高出力は184kw（250ps）と非常にパワフルなので、加速性能も優れており、高速道路でも空気抵抗をものともしない余裕のある巡航が楽しめるはずです。

気になる燃費ですがハイブリッドのWLTCモード燃費が17.5㎞/L（2WD）でガソリン車のWLTCモード燃費は10.6㎞Lです。ガソリンエンジンは決して優秀とは言えませんが、ハイブリッドに関しては先代のよりも向上しています。

先代アルファードハイブリッドのWLTCモード燃費は14.8㎞/L（ハイブリッドは4WDのみ）だったのに対して、新型アルファードは同じ4WD（E-Four）でも16.5㎞/Lと大きく伸びています。システム最高出力が197PSから250PSに大きくアップしているのにWLTCモード燃費は向上しているのですからとても優秀だといえるでしょう。

新型アルファードはさすがに人気モデルだけあり発売以来注文が殺到しているようです。540万円～という高額車であっても欲しい人にとってはあまり関係ないようです。ただ、注文が殺到しすぎて、すでに年内納車分は完売で、オーダーもストップしており今注文しても納車は2024年8月以降になってしまうという話も聞こえています。

そのような状況ですので今から慌ててディーラーをいくつも回っても納期は短くなる可能性はほぼありません。現状としては、新型アルファードにミドルグレードやエントリーグレードがラインナップに加わり、カーリース車両としても余裕をもってオーダーできるようになるまで、しばらく待つのが賢明かもしれません。