カローラツーリングとヤリスクロスを徹底比較

トヨタにはコンパクトモデルから大型モデルまで幅広くSUVのラインナップをそろえています。その中でも扱いやすいコンパクトサイズのSUVといえばヤリスクロスです。また同じトヨタの扱いやすいサイズのRV車としてはカローラツーリングもあります。

カローラツーリングはステーションワゴンで、ヤリスクロスはクロスオーバーSUVなので全く同じジャンルではありませんが、最上級モデルの価格はどちらも300万円ほどと、購入を考えるかたにとっては近いポジションにあります。そんなトヨタのコンパクトRV車の代表ともいえる2台について、その違いやそれぞれの魅力、どんな方に向いているのかなどについて詳しくご紹介します。

カローラツーリングとは

カローラツーリングはセダンのカローラをベースとしたステーションワゴンです。ステーションワゴンながら車高が低めでシルエットはスポーティ。いわゆるスポーツワゴンスタイルとなっています。ステーションワゴンとしては比較的コンパクトですが、機能性に優れ大人5人が乗車してもゴルフバッグ4個を積載可能な広い荷室も備えており優れて実用性も兼ね備えています。

ヤリスクロスとは

ヤリスクロスはコンパクトカー「ヤリス」から派生したコンパクトクロスオーバーSUVです。ベースモデルの特徴を引き継ぎ、扱いやすいサイズと十分な実用性を持ちながら、SUVらしい優れた走破性と機能性を持っています。またSUVらしいたくましいデザインも高く評価されています。さらにベースとなったヤリス同様に優れた燃費性能もその特徴となっています。

車両価格の違い

車両価格は車格的に上となるカローラツーリングのほうがわずかに高額です。しかし、共にクラスでいえばCセグメントとなり、最上級モデルは約300万円とほぼ同じ。十分比較対象となるでしょう。

●カローラツーリング価格　2,070,000円〜3,048,000円

●ヤリスクロス価格　1,896,000円〜2,936,000円

ボディサイズの違い

車体サイズはやはり車格的に上級となるカローラツーリングのほうが大型です。ともに3ナンバーサイズですが全長は30cm以上カローラツーリングのほうが長くなっています。その分車重も150kgほどカローラツーリングのほうが重いので燃費的には当然不利となるでしょう。その分しっとりとした落ち着いた乗り心地が味わえるはずです。

●カローラツーリング車体寸法

全長4,495㎜×全幅1,745㎜×全高1,460㎜　車重1,260～1,450kg

●ヤリスクロス車体寸法

全長4,180㎜×全幅1,765㎜×全高1,590㎜　車重1,110～1,270kg

エクステリア、インテリアデザインの違い

カローラツーリングのエクステリア

カローラツーリングはカローラのステーションワゴン版であるため基本デザインはカローラセダンに準じています。大きな違いはリヤデザインで、ステーションワゴンらしい2ボックススタイルで大きなラゲッジスペースが設けられています。

フロント周りは切れ長なデザインで精悍さを強調したヘッドランプが特徴的で1灯の光源でロービームとハイビームの切り替えが行えるBi-BeamLEDとなっています。フロントバンパーのグリルは幅広く重厚感のあるデザインで存在感を強調し、またスポーティな印象を与えてくれます。

サイドビューは、ステーションワゴンらしくボディ全体が流れるような曲線を描きそれでいて荷室部分のボリューム感が小さいためスポーティでダイナミックな印象を与えてくれます。

カローラツーリングは、比較的コンパクトなステーションワゴンですが、スポーティさと高級感を併せ持った非常にスタイリッシュなエクステリアが特徴となっています。質感もクラストップレベルでディテールのツヤ有り塗装やメッキ加飾が高級感をうまく演出しています。

ヤリスクロスのエクステリア

ヤリスクロスはヤリスのSUVモデルという位置づけですがエクステリアデザインはかなり違っています。小さな開口部を持つフロントグリルにシャープな造形のヘッドライトレンズを組み合わせSUVらしい力強さとスポーティ感を演出しています。

前後のフェンダーがまるで筋肉のように盛り上がりコンパクトサイズながら迫力あるスタイリングとなっています。また、車体下部のブラックのスキッドプレートもスタイリッシュで大径18インチのアルミホイールの組み合わせによって実寸以上に大きく見えます。オフロードでの走破性の高さを期待させてくれるデザインといえるでしょう。

カローラツーリングのインテリア

カローラツーリングはエクステリアと同様に質感の高いシンプルで高級感あるインテリアも大きな特徴となっています。シートの表皮は最上位グレードであれば合成皮革＋レザテックという高級タイプとなり、肌触りや座り心地も非常に上質です。

運転席回りはダッシュボードの高さを抑え開放的なデザインとなっています。フロントピラーはドアミラーの取り付け位置が最適化されているので前方視界も良好で運転もしやすいでしょう。また、最適なポジションがとれるよう、調整範囲の広いチルト＆テレスコピックステアリングを全車に標準装備されています。

ヤリスクロスのインテリア

ヤリスクロスのインテリアはベースとなったコンパクトカーのヤリスと基本的には変わりません。ディスプレイオーディオとセンターコンソールが中央で大きなスペースを使いSUVらしいスポーティさと力強さが表現されています。

インパネ上部にソフトパッド、そしてドアトリムには温かみを感じさせる新素材フェルトをあしらい高級とは言いませんが質感は高く「手が届くところに必要なものが揃った使いやすく温かみのあるパーソナルなインテリアというイメージでまとめられています。

室内空間、ラゲッジの違い

カローラツーリングとヤリスクロスの室内寸法は以下になります。

●カローラツーリング

室内長1,795㎜×室内幅1,510㎜×室内高1,155㎜

●ヤリスクロス

室内長1,845㎜×室内幅1,430㎜×室内高1,205㎜

車体サイズはカローラツーリングのほうが30cm以上長いですが室内寸法ではヤリスクロスのほうが長くなっています。ではラゲッジスペースはどうなっているのか。

●カローラツーリング荷室容量

392L

●ヤリスクロス荷室容量

390L

このようにほぼ同一サイズです。車体サイズに差がある割に荷室の容量の差がないのは、ヤリスクロスはSUVなので荷室の天地方向に余裕があるためでしょう。ただし後席を起こした状態での荷室長はカローラツーリングが930㎜なのに対してヤリスクロスは820㎜と10cm以上の差があります。

また後席を倒した状態での荷室最大奥行はカローラツーリングが1953㎜なのに対してヤリスクロスは1740㎜です。荷物の積載性能という意味ではやはりステーションワゴンであるカローラツーリングのほうに分があります。

装備、安全性能の違い

カローラツーリングもヤリスクロスも装備は非常に充実しています。ともに全グレードオートエアコンが装備で、ヘッドライトはLED。また、エントリーグレードを除きアルミホイールが標準装備となっています。ディスプレイオーディオはカローラツーリングは廉価グレードのみ未装備ですがミドルグレード以上は標準で、ヤリスクロスは全グレードに標準装備です。また充電用USB端子も両社とも標準で搭載されています。

前席のパワーシートやシートヒーターですがこちらは意外なことにカローラツーリングは一部にオプション設定。ヤリスクロスは上級のZグレードに標準装備となっています。車格的にはカローラツーリングのほうが上ですがフロントシートの機能的にはヤリスクロスのほうが高級になっています。また、「ヤリスクロス」はカローラツーリングにはないハンズフリーパワーバックドアが採用されている点も違いといえます。

予防安全機能の「Toyota Safety Sense」は両車とも全グレードに標準装備となっています。ブラインドスポットモニターやパーキングサポートブレーキ（後方接近車両）、プリクラッシュセーフティ（交差点左右折支援機能、低速時加速抑制機能、緊急時操舵支援機能）にパーキングサポートブレーキ（前後方静止物）、さらにドライブスタートコントロールやレーダークルーズコントロール（全車速追従機能付）などは共にセットで装備されています。

違いとしては、アダプティブハイビームシステムがヤリスクロスには装備されますがカローラツーリングでは機能が少し劣るオートマチックハイビームとなっていること。しかし、カローラツーリングにはドライバー異常時対応システムや安心降車アシスト、プロアクティブドライビングアシストなどヤリスクロスにはない装備がセットで装着されます。全体的にやはり車格的に上のカローラツーリングのほうが予防安全装備は充実しているといっていいでしょう。

走行性能、燃費の違い

パワーユニットはそれぞれ2種類でガソリンエンジンとハイブリッドが設定されていますが、カローラツーリングはガソリンエンジンが直列3気筒1,500㏄でハイブリッドが1800㏄ガソリンエンジン+モーターとなっています。ハイブリッドはパワーも十分で加速性能も高く、荷物を満載してもストレスのない加速が味わえるでしょう。また重心も低いのでコーナリングもスムーズ。しかしガソリンエンジンは車格に対してパワーが物足りない部分もあり、街中では不満は感じませんが高速道路などではパワー不足を感じるかもしれません。

ヤリスクロスは、ガソリンエンジンはカローラツーリングと同じく直列3気筒1500㏄でスペックも全く同じですが、ハイブリッドは1500㏄ガソリンエンジン+モーターでスペック的には多少劣っています。しかし車体がコンパクトで車重も軽いため、ガソリンエンジンでもハイブリッドでも加速性能に不満は感じません。ホイールベースが短いため段差などがある道路では突き上げ感があり乗り心地的にはカローラツーリングには劣りますが、フットワークは軽くSUVながらコーナリングも意外に快適です。

それぞれの燃費は以下になります。

ハイブリッド、ガソリンともにやはり車重の軽いヤリスクロスのほうが少し良いようです。しかし、その差はわずかで共に非常に燃費性能に優れているといっていいでしょう。

カローラツーリングが向いている人

カローラツーリングはステーションワゴンらしく荷室が広く、また重心が低く舗装路での走行性能に優れています。そのため広い荷室を活用したアウトドアレジャーや、ドライブなどロングツーリングを楽しみたいという方に適しているでしょう。

また、カローラツーリングはグレードに共通してインテリアや装備などにシンプルさがあり運転席も無駄のないデザインになっています。派手なデザインよりもシンプルでかつ上質な落ち着いたデザインを好む方にもおすすめです。ただ後席スペースは車体サイズの割にはタイトなので後席に快適性を重視する方は、同じカローラシリーズでもSUVのカローラクロスなどのほうが適しているかもしれません。

ヤリスクロスが向いている人

ヤリスクロスはクロスオーバーSUVながら189万6,000円からというリーズナブルなプライスが非常に魅力的です。また意外にオフロードの走破性にも優れており、荷室容量もサイズに対しては十分な余裕があるのでアウトドアでキャンプなどを楽しみたいという方におすすめです。

また、ガソリンエンジン車もハイブリッドもともに燃費性能に優れているので経済性を重視するという方にも適しているでしょう。コンパクトで扱いやすいサイズなうえ視点が高く視界も良好ですので運転にそれほど慣れていないという方にも適しているのではないでしょうか。

まとめ

同じトヨタのRV車であるカローラツーリングとヤリスクロスを比較してみました。ステーションワゴンとSUVという違いはありますがそれぞれコンパクトで扱いやすく実用性や安全性、さらに燃費性能に優れているという点では共通点があります。また価格帯で気にも近いものがあり、同じ予算があるのではあればどちらを選ぶべきなのかは悩ましいところです。