高速道路や国道などに設置されている「Nシステム」をご存じですか? Nシステムは速度取り締まり用のオービスにも似ていますが、あくまで走行中の車のナンバープレートを読み取るための装置とされています。
そして、犯罪の捜査や抑止に役立つものというのですが、ではNシステムの実態はいったいどういったものなのでしょうか。なぜ犯罪捜査に役立つのか? また速度取り締まりに利用されてはいないのか。さらに紛らわしいオービスとの見分け方などについて解説します。
Nシステムとは
「Nシステム」。その名前は聞いたことがなくても運転していれば必ず見かけたことがあるはずです。どのようなものかというと、道路を横断するように設置された門型の構造物や、道路わきに設置された逆L字型の構造物の上に、カメラらしきものが組み込まれた大型の装置のことです。
スピード違反の取り締まりに使われている、いわゆる「オービス」に似ているため、見分けがついてない方も多いかもしれませんが、Nシステムはナンバーを読み取るための装置です。日本全国に設置されていて、警察庁の発表しているデータを見ると、その数は少なくとも1511台以上あるようです。
https://www.npa.go.jp/policies/budget/review/r2/reviewsheet/01003200.pdf
警察が設置しているもので、道路を走行中のナンバープレートをカメラで撮影してナンバーを自動で読み取り、データベースに集約するというものです。このNシステムというのはあくまで通称であり、クルマのナンバー(Number)を読み取るということから、Nシステムと呼ばれるようになったようです。
一般的には「自動車ナンバー自動読取装置」と呼ばれています。ただし、この名称もそのNシステムを管轄する各都道府県の警察よって異なることもあるようです。
Nシステムの目的
Nシステムは1987年に東京都江戸川区の新堀を通る国道14号に設置されたのが最初とされています。走行中の車のナンバーを読み取るその目的は、走行中の車両のナンバーが、盗難車両や犯罪などに使われた可能性のある手配車両のナンバーと合致していないか、データと照合して警察の捜査に活用するためです。
また、カメラによって撮影しているのは車全体ですので、ナンバーだけでなくその車の形状やカラー、運転席や助手席に乗っている人の顔もなども撮影しているようです。
手配中の車のナンバーと読み取ったナンバーが合致した場合は、その車が通過したNシステムの地点情報が警察に送信されます。警察はその情報をもとに、犯罪に関係がある可能性のある車両を追跡するというわけです。そのデータは一定期間蓄積されていて、あとから検索することも可能ということ。
実際犯罪の捜査に成果を上げており、容疑者の車両がNシステムによって検知され、逮捕につながったなどと、ニュースなどでもそのことが報道されることもあります。そのように犯罪抑止や捜査に有効であるとされていることから、Nシステムは今後も増加していくのではないかと思われます。
ただ、このNシステム、設置目的は犯罪捜査が目的であり、違法性のない車のナンバーのデータは消去されると警察は発表しているのですが、どうやらそのデータは、別の目的でも使用されているようです。
それは車検切れ車両の検知です。こちらの発表を見てください。
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha09_hh_000199.html
これは車検切れの車を自動的に検出、検挙するためにNシステム(ナンバー自動読取装置)を、導入していくと国土交通省が発表したものです。
確かにNシステムは自動的にナンバーを読み取り、そのデータをサーバーに蓄積していくのですから、走行中の車の車検が切れているかどうか簡単に検出できるでしょう。こうった目的にもNシステムは非常に有効なのですね。
事故や事件などのトラブルを未然に防ぐにはたしかに役立つのかもしれません。でも、そうなると、Nシステムは今後、道路設置型だけでなく持ち運びのできる可搬型の導入などもさらに加速していくのかもしれません。
Nシステムの設置場所
Nシステムはどんな場所に設置されているのかというと、主には国道や高速道路、インターチェンジ付近などです。さらに一般道や、都道府県庁。そして原子力発電所や火力発電所、空港、自衛隊、在日米軍観戦施設、宗教関連施設周辺にも設置されています。
可搬式ではない固定式のNシステムは、とても大きな構造物のため簡単に確認できます。気になるようでしたら、自宅近くのNシステムを探してみてはいかがでしょう。
オービスとの違い
Nシステムとよく間違えられるものにオービスのLHシステム(ループコイル式Hシステム)があります。オービスは走行中の車を自動的に撮影するという意味ではNシステムに似ていますが、目的は大きく違っていて速度違反車を取り締まるために撮影をしています。
オービスのLHシステムも道路を横断するような門型の構造物にカメラが設置されているので、走行中に判別するのは難しいかもしれません。しかし、簡単に見分ける方法もあります。それは標識です。
オービスの場合、ドライバーのプライバシー侵害を回避するために、設置されている場所よりも手前に必ず事前警告板が設置されています。四角い青い標識で「自動取締機設置路線」と白い文字で大きく書かれていますので注意していれば見落とすことはないはずです。
だいたいはオービスの1kmから3km手前あたりに、最低2か所は看板があるので、そちらも確認しておけばLHシステム式のオービスとNシステムを見間違うことはないでしょう。
また、オービスのLHシステムにはNシステムにはない赤色灯(パトランプ)が構造物のカメラ横や支柱に必ず設置されています。さらに、路面に撮影ポイントを示す白線マーカーが必ずあるのもLHシステムの特徴です。
こういったポイントに注意していれば、目の前に現れた構造物を見て、オービスと見間違えて慌てて急ブレーキをかける、などということもないでしょう。というか、オービスやNシステムがあろうがなかろうか、そもそも急ブレーキが必要となるような運転は、普段からも控えるのが正しいドライバーですね。
まとめ
ドライバーにとっても身近な存在であるはずなのに、その実態があまり知られていないNシステムについて、ご理解いただけたでしょうか。
Nシステムはあくまで犯罪捜査や抑止の目的で使われるもので、オービスなどのような速度取り締まりには使用されていないとされています。しかし、自分の車での行動が常に監視され、それがデータとして記録され続けているというのはちょっと気になりますよね。
自分の行動に後ろめたいことがなければ何の問題もありませんが、他の目的に使用される可能性がないとはいえません。知らずうちに私たちを監視し続けているNシステムが、今後どのように利用されていくのかは、我々自身が、逆にしっかり監視していかなくてはいけないかもしれません。
この記事の執筆者
坂場 遼
クルカの坂場です。 大学卒業後、新卒でクルカに入社しました。 クルカでは営業としてお客様へ新車の販売、サポートを担当しております。小さい頃から車が好きで、現在でも街中で珍しい車が走っていると目で追いかけてしまいます。 好きだけではなく様々な知識を吸収し、お客様に満足いただけるカーライフをご提供いたします。 クルカのコラムでは、分かりやすさを重視しお客様目線で監修しております。
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